A DYING WISH

THULCANDRA(ツルカンドラ)
A DYING WISH / 2021年 / 84点

ドイツ出身のブラックメタルバンド、6年ぶり、4枚目のアルバムです。

デスメタルバンドOBSCURAのボーカル/ギターのステファン・クンメラーによる別バンドで、これまでと同じく、DISSECTION直系のメロディアスなブラックメタル道を突き進んでいます。

さて、前作に比べるとよりギターやドラムサウンドの「刺々しさ」が減って全体的にスマートなサウンドになっており、より「寒さ」を感じられるようになっています。また、アコースティックギターによる「静」のパートと、ブラストなどをぶちかます「動」のパートがよりクッキリと差別化され、これもまた寒さを強く演出しています。
ちなみに本作には師匠DISSECTIONの名曲「The Spirit of the Night」と「Night's Blood」のライブバージョンが収録されているんですが、まったく違和感無く溶け込んでいます。
演奏そのものは非常にタイトでアングラ臭は皆無、総合的に見て(聴いて)、これまでで最も完成度は高いと思います。

前作でも言ったように、メロデスのようなキャッチーさは無く、あくまでブラックメタルとしての邪悪さ・不穏さが全面に押し出されているので、私の好みどストライクではないんですが、メロデスとはこれまた違った気持ち良さというか、寒さに身を震わす心地良さというモノが味わえます。

欠点らしき欠点は特には無いと思いますが、1分にも満たないインストが2曲もあったのは余計だったかな。1曲目に「イントロ」としてあるならまだしも、3曲目と7曲目という中途半端な所にあるし。

お気に入りは「Devouring Darkness」。ファンタジーRPGのラスボスが登場する時に流れそうな荘厳で邪悪な空気感がたまらない1曲です。

メロディアスなブラックメタルとはどういうモノか、非常に分かりやすく教えてくれる作品だと思います。